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大島僚太〜J1屈指のボランチになるまで〜

昨年のJリーグベストイレブンに2連覇を果たし川崎フロンターレから多くの選手が選出された。ベストイレブン常連の中村憲剛を始めフロンターレからは計7名もの選手が選ばれた。大島僚太もその中の1人だ。

大島といえばその圧倒的なテクニックとパスセンスを武器に中盤に君臨し2連覇中のフロンターレにおいても心臓と呼ばれる程必要不可欠な選手である。Jリーグで間違いなく1、2を争うボランチだろう。そんな彼もプロに成り立て、デビュー当時は上手いだけのひ弱な青年だった。何故そんな彼がJリーグ屈指のボランチにまで成長できたのか?彼の成長を促した出会いやターニングポイントがいくつかある。

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3人の出会い

大島僚太の成長を大きく促した選手が3人いる。1人目はミスターフロンターレこと中村憲剛だ。大島がボランチとしてデビューした当時もう1人のボランチ相方はほとんどの試合で中村が務めた。大島がプロになった頃にはもう中村はフロンターレの中心選手として活躍し代表にも選ばれW杯にも出場している経験も実力もある選手だった。日々の練習から真横にこの偉大な男がいたことは大島にとっては物凄く大きいことだっただろう。恐らく盗める技術は全て盗み、いろんな質問をぶつけいろんなアドバイスを受けたに違いない。最も近くに最も良いお手本がいたことは彼にとって幸運だったに違いない。

2人目は大久保嘉人だ。2013年に川崎に加入した大久保は加入初年度から3年連続得点王に輝いた。大久保は自分がゴールを決めるから自分にパスを出せと味方に強く言って聞かせた。ボランチだった大島には「前を向いたらまず縦パスを狙え」、「速いパスをよこせ」、「一瞬でも出せるタイミングがあれば出せ」と特に厳しく言った。ああ見えても負けず嫌いな大島はその過度とも言える要求に応え縦パスを狙い続けた。その結果今では難しい縦パスでも彼は簡単に通すことができる。

3人目はエドゥアルド・ネットだ。ネットが2016年に加入して以来ボランチの相方はほぼネットが務めることとなった。今まで中村を始め相方は日本人選手が務めていた。相方が日本人ならば前線への指示や周りとのコミュニケーションは相方に任せることができる。しかしネットはブラジル人で当然日本語も喋れない。つまり大島自身が周りの選手に指示し周りとのコミュニケーションを取らなければいけなくなったのだ。これで彼にプレー面だけでなく責任やコミュニケーション能力も備わって言った。またネットは相手のボールを刈り取る守備も武器にしていた。真横でそれを見ていた大島はその守備も自分のものにしようと盗んだに違いない。この頃から彼は課題だった守備面も強化されていった。

 

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新背番号と代表選出で芽生えた自覚

2016シーズンから大島は背番号を16番から10番に変更した。それまでフロンターレの背番号10はジュニーニョを始め強力なブラジル人助っ人がつけてきた番号だ。クラブの象徴とも言える10番をつけるのは日本人ではクラブ史上初のことであった。どれだけクラブが大島に期待しているかがわかる出来事だった。更にその年にA代表に初選出された。9月のアジア最終予選アラブ首長国連邦戦ではいきなり先発で代表デビューも飾った。背番号変更と代表選出で自分がフロンターレの中心選手だと自覚が芽生え責任感も更に強くなった。

様々な出会いやターニングポイントになった出来事を経てチームの中心としてフロンターレの2連覇に貢献した。また2018年のロシアW杯のメンバーにも選ばれた。そんな大島の次なる目標は代表定着だろう。過去に何度も怪我に泣かされ棒に振った代表。今年こそは怪我なく残りのシーズンを過ごし代表に定着したい。代表に定着できればもう一皮剥けるはずだ。大島僚太にはその力がある。

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